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<<   作成日時 : 2016/06/16 10:14   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 3 / トラックバック 0 / コメント 0

画像 日曜日の夕方,薄暗くなり始めた頃、チャイムが鳴った。5件ほど先のMさんが、濃い赤紫の珍しい花を抱えて門扉のところに立っておられた。
「この花、赤が綺麗でしょ。でね、ドライフラワーにしても色が変わらないの。ずっと楽しめるから」と渡して下さった。
「今お風呂から出たばかりで、汚らしくてごめんなさいね」未だ濡れている髪が、額に貼り付いている。
「大丈夫ですよー。美女は濡れてもビジョビジョということで、汚くなんてありませんよー」と言い、声をたてて笑っていただいた。
「ホント、奥さんは励まし上手だものねぇ。あの時、生きて行く気も折れそうだったけど、励ましてもらって、どれほど助かったか、ご恩は忘れない。見て!」と万歳のように、両手を上げながら一回転。今年83歳とか、かなりしっかり両手は上がっている。
「お蔭で、やっと治ったみたいよぅ。ちょっと手を握らして」と仰るので手を差し出す。Mさんは私の手を握ったまま、彼女が二年前の冬に左の肩を骨折したときの話になった。しばらくお話が続いたので「お入りになりませんか」と申し上げようかと思いつつ、話が途切れそうで、そのまま暫く立ち話。
 辺りがすっかり暗くなる中を、帰って行かれる後姿を見送りながら、ちょっと人恋しくなる、寂しい時間帯だものなぁと。
 Mさんは怪我の少し前、同居していた娘さんが仕事で名古屋に転勤、ひとり暮らしになられたばかりだった。元気になったと自覚できたとき、嬉しさと、ひとり暮らしの寂しさが、こみあげたのではないかしら。強く引き留めて、お茶してもらうべきだったなぁと。お庭で育てたという、初めて見る一抱えの花を見つめつつ、心残り。
 花の名前をインターネットで調べたら「カンタナンケ」というキク科の花かなぁと。少しザラッとする葉は、茎から2枚ずつ出ている対生。花の色はアザミっぽいような。が、匂いはまるで藤袴。私は藤袴の匂いが大好き。でも秋の七草。
 『古今集』に「何人(なにひと)か来て脱ぎ掛けし藤袴来る秋ごとに野辺をにほはす」藤原敏行(としゆき)が 秋のところで読んでいるように、微かだけれど良い匂いが、主に葉の辺りから発しているところが共通する。
 赤紫のアザミよりも少し大きめな花は30本ほどもある。青色ガラスの花瓶に生けて、キッチンに置いた。食事をしながら眺めると、ついMさんのことを思う。
 ちょっと甘い物でも用意し「戴いたお花を眺めながら、軽くお茶でもいかがですか」と声を掛けて差し上げたら、喜んでもらえるかしら。と考えてみても、私の今はちょっと忙しすぎて、そのゆとりがない。もう少しのんびり、ゆったり暮らせるようにしなければ、と。
 テレビのコマーシャルに「痛いと私はブチャクなる」と若くて可愛らしい女優さんが言っているけど、忙しすぎて私の心もブチャイクになっているなァと。つい最近あり難いメールを戴いたのに、味気ない返信事をしたことをひどく悔やんだ。
「うーん何とかならないの、このごろあまりにもパツパツだよねー。気を付けようね」と声に出していた。
        

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