火事の怖さ

DSC_3112.JPG  10月が今日で終わる。なんとも短い1ヵ月だったこと。今月は、円地文子の『なまみこ物語り』を読み終えると直ぐに、永井路子の『この世をば』という300ページ上下2冊をせっせと読んだので、ブログどころか日記も書くことができなかった。好きな平安時代の空気を感じつつ暮らした1か月ではあった。そんな折に、今朝の沖縄の首里城炎上はショックだった。『この世をば』に度々主人公道長の関係する建物が炎上する場面があり、その燃えている御殿の前に立ち尽くす道長が描かれていて、平安時代はそんなにも頻繁に建物が燃えたのかと驚いたのだったが、それを現実にテレビのニュースでみることになるなんて。あまりにも辛いできごとだ。
 以前『伴大納言絵巻』を観たけれど、それにも生々しい火事の恐ろしさが描かれていた。
 まだ私が病院のベットで暮らしていた幼いころ、一時帰宅で家に数日戻っていたそのある夜半、緊張した母の声で起こされた。数軒先に火事が発生し「家にも火が回って来そうだから、避難しなきゃならないんだよ」と言いながら、母はギブスベットで寝たきりの私に、まだ着た事もない余所行きの着物を着せ、持ち出さねばならない物を纏めていた。私はその母の緊張した様子に、恐怖心を覚え身体が震え、歯の根が合わないというのだろうか、ガチガチと歯が音を立てていたのを覚えている。幸いそのときの火事は出火元だけで、消し止められた。火事というものは恐ろしいものだと、あの時以来身に沁みている。

 昨日大原幽学での古典講座『平家物語』を受講し、今日ハルさんの運転で市川へ戻る途中、以前から気になっていた畑の中に並んでいるお地蔵さんと石碑を見ようと車を寄せた。足元が悪く田んぼへ落ちそうで歩けないので、ハルさんが写真を撮って来てくれた。慶応としか刻まれている文字が読めなかったそうだから、150年ちょっと前のものらしいが、いかにも長閑な空気が漂っているような眺めだ。でも足元は、つい最近の台風と大雨のために、ぬかるんでいてとても私などが近寄れる状態ではなかった。異常気象と世界遺産の火災、天変地異というのだろうか。もうこのくらいで鎮まって欲しいと願わずにはいられない。

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