火事の怖さ
以前『伴大納言絵巻』を観たけれど、それにも生々しい火事の恐ろしさが描かれていた。
まだ私が病院のベットで暮らしていた幼いころ、一時帰宅で家に数日戻っていたそのある夜半、緊張した母の声で起こされた。数軒先に火事が発生し「家にも火が回って来そうだから、避難しなきゃならないんだよ」と言いながら、母はギブスベットで寝たきりの私に、まだ着た事もない余所行きの着物を着せ、持ち出さねばならない物を纏めていた。私はその母の緊張した様子に、恐怖心を覚え身体が震え、歯の根が合わないというのだろうか、ガチガチと歯が音を立てていたのを覚えている。幸いそのときの火事は出火元だけで、消し止められた。火事というものは恐ろしいものだと、あの時以来身に沁みている。
昨日大原幽学での古典講座『平家物語』を受講し、今日ハルさんの運転で市川へ戻る途中、以前から気になっていた畑の中に並んでいるお地蔵さんと石碑を見ようと車を寄せた。足元が悪く田んぼへ落ちそうで歩けないので、ハルさんが写真を撮って来てくれた。慶応としか刻まれている文字が読めなかったそうだから、150年ちょっと前のものらしいが、いかにも長閑な空気が漂っているような眺めだ。でも足元は、つい最近の台風と大雨のために、ぬかるんでいてとても私などが近寄れる状態ではなかった。異常気象と世界遺産の火災、天変地異というのだろうか。もうこのくらいで鎮まって欲しいと願わずにはいられない。
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